圧倒的に少ない日本のPCR検査件数「世界159位」を招いた厚労省と分科会の罪

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日刊ゲンダイDIGITAL

最近でも検査を後回しにされる人が続出(ドライブスルー方式のPCR検査訓練で、検体回収の手順を確認する医師)/(C)共同通信社

「まず、徹底検査」「検査能力にはまだ余裕があるので、都道府県と連携して、陽性者の早期発見、早期治療を進めていきます」――。新型コロナウイルスの新規感染者が連日増加していることを受け、こう意気込んでいた安倍首相。「検査を増やす」と数カ月言い続けているが、最近でも検査を後回しにされる人が続出している。安倍首相の言葉とは裏腹に、日本の検査数は世界に比べ、圧倒的に低いままだ。  ◇  ◇  ◇  新規感染者数が急増したことで、再び4月ごろのようにPCR検査をなかなか受けられない“検査難民”が増え始めている。保健所に電話してもつながらない――。ネット上では、こんな悲嘆にくれる声が噴出。重症者でなければ、検査を受けられないケースがあるという。 「今月上旬、かかりつけの患者さんから倦怠感などの症状があるのでPCR検査を受けたいと相談され、保健所に連絡しました。ところが、保健所から『重症でないと受けられない』と断られてしまいました」(都内クリニックの医師)  政府も都も「体調の悪い方は出勤させない。検査を勧める」(西村コロナ担当相)、「検査はできるだけ早めに、おかしいぞと思った段階で行っていただきたい」(小池都知事)などと呼び掛けているが、肝心の検査が受けられないのでは話にならない。  世界と比較しても、日本の検査体制はとても先進国の一員とは思えないレベルだ。  世界各国のコロナ関連の統計を集計している米ウェブサイト「worldometer」に、衝撃的なデータがある。感染者数や死亡者数、重症者数などを列挙しているのだが、注目すべきは100万人あたりの検査件数。ナント、日本は28日時点で、世界215の国・地域の中で159位なのだ。  ちなみに、158位は東アフリカのウガンダ、160位は南アメリカガイアナ。一方、感染爆発に見舞われた欧米諸国は、イギリス13位、ロシア15位、アメリカ21位、スペイン27位、イタリア35位、ドイツ43位。震源地となった中国も、世界1位の人口を誇るが、56位と“健闘”している。

 

感染症法改正を阻む厚労省と対策分科会

検査拡充には法改正が必要なのに…(加藤厚労相)/(C)共同通信社

 日本の検査数はG7の中で最低、G20の中でもワースト2位だ。1日あたりの検査能力を比較しても、日本が最大3万2000件であるのに対し、中国は380万件、アメリカは50万件、ドイツは18万件、フランスは10万件にも上る。日本が劣っているのはなぜか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏がこう言う。 「現行の感染症法では、民間の医療機関や検査会社は、厚労省国立感染症研究所、保健所の指示がなければ検査できません。濃厚接触者以外に、医療従事者やエッセンシャルワーカー、社会的弱者を無症状でも検査できる建て付けになっていないのです。法改正が必要なのに、厚労省や国の感染症対策分科会が横やりを入れている。法改正しない限り、検査拡充は期待できません」  感染症対策の基本は、検査と隔離。この原則を無視する安倍政権の下では、感染爆発するのも当然だ。