独自

盛山文科相、旧統一教会系から選挙支援 21年衆院選 関係者が証言

編集委員・沢伸也 高島曜介
[PR]

 盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から推薦状を受け取り、団体が選挙支援をしていたと複数の関係者が朝日新聞の取材に証言した。盛山氏は宗教法人を所管する文科省のトップとして、昨年10月に教団の解散命令を東京地裁に請求している。教団側との関係をめぐるこれまでの自民党の点検や朝日新聞のアンケートでは、選挙支援については明らかにしていなかった。

 盛山氏は文科相就任後の昨年10月の国会で、教団側との関係について、関連団体の会合に1回参加したと答弁し「関連団体によるものだとは認識せずに参加した」と説明していた。自民党が22年9月に公表した点検結果でも、関連団体の会合に出席してあいさつしたことがあるとなっていたが、選挙支援についての申告はなかった。朝日新聞のアンケートでも選挙支援は否定していた。

 盛山氏は岸田派に所属し、21年10月の衆院選に兵庫1区から立候補。関係者によると、公示前、神戸市で教団の友好団体「世界平和連合」主催の国政報告会があり、盛山氏はその場で世界平和連合の推薦状を受け取ったという。

 選挙期間中は、教団信者でもある世界平和連合の会員10~20人が連日、盛山氏の事務所名で有権者に電話で投票を呼びかけた、と関係者は話している。世界平和連合の地元幹部が支援の状況を随時、盛山氏の事務所に報告もしていたという。盛山氏は選挙区で敗れ、比例復活となった。

 世界平和連合は、教団創始者の故・文鮮明(ムンソンミョン)氏が創設した団体。複数の国会議員と事実上の「政策協定」にあたる推薦確認書を交わしていたことが明らかになっている。

 教団をめぐっては、22年7月の安倍晋三元首相銃撃事件後、信者からの高額献金の問題や政治家とのかかわりが表面化。教団側の主張が政策に影響を与えた可能性を指摘する声も上がっていた。

 盛山氏の事務所は朝日新聞の取材に5日、「そういった発言をされた関係者がいらっしゃるのであれば、様々な会合に参加する中でご指摘の集会に伺い、推薦状を受け取ったのではないかと思います。なお選挙支援を依頼した事実はありませんし、事務所に活動報告があったことも確認できませんでした。また当時、当該団体が教団関係団体という認識がありませんでした」などと文書で回答。世界平和連合にも質問を送ったが回答はなかった。編集委員・沢伸也、高島曜介)

 朝日新聞の取材に対する、盛山正仁文科相の事務所からの5日の回答(要旨)は以下の通り。

    ◇

 衆院選の際は、各地で様々な集会があり、あらかじめご案内を受けるものに加え、当日突然に伺うものも多数あり、全ての詳細を把握できているわけではなく、事務所の資料等では確認できませんが、取材に対してそういった趣旨の発言をされた関係者がいらっしゃるのであれば、衆院選の公示日直前のことでしたので、選挙に向けて、各地で様々な会合に参加し、多くの方々にお目にかかる中で、集会に伺い、推薦状を受け取ったのではないかと思います。

 選挙の際、毎回200を超える推薦状を頂いていますが、既に処分していることもあり、こちらから推薦を依頼している団体からの推薦状については把握しておりますが、その他の団体からの推薦状については把握できておりません。

 なお、2021年10月の選挙に際して、お尋ねの団体に選挙支援を依頼した事実はありませんし、事務所に活動報告があったことも確認できませんでした。

 また、当時、当該団体が旧統一教会関係団体であるという認識がありませんでした。自民党からの調査の際、事務所の資料等において、お尋ねの集会に関する詳細について記録がなかったことから、自民党の調査にも回答しておりませんでした。

 いずれにいたしましても、私自身、旧統一教会との関係を絶っており、引き続き、解散命令請求の対応等、取り組んでまいりたいと考えております。

 

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。