日本共産党大阪府委員会

 

時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第80話 ノック知事のセクハラ辞任

女子学生の告発  

横山ノック知事がセクハラ訴訟で敗訴し、「ノック知事のセクハラ疑惑訴訟回避に怒る女たちの会」が府庁前で抗議=1999年12月13日、府庁前

 2000年の冒頭、セクハラ事件によって横山ノック知事が辞任するなかで、知事選挙がたたかわれます。
 事件は前年の知事選挙、投票日3日前(4月8日)でした。アルバイトの選挙運動員だった女子学生を、知事が移動中のワゴン車に同乗させます。風邪と生理も重なり体調が悪かった彼女に、知事が車内でわいせつ行為に及びます。恐怖と恥ずかしさで声もあげられないもとで、執ように――。
 翌日、「あんな人が知事になるなんて」と告訴に踏み切った女子学生に襲い掛かったのは、「選挙妨害行為」などの中傷、誹謗、いやがらせでした。選挙後、ノック知事は名誉棄損で逆告訴。原告の手記『知事のセクハラ 私の闘い』(田中萌子・仮名)には、孤独と絶望のなかでも人としての尊厳を守り通すためにたたかいぬき、民事・刑事ともに勝訴した過程が克明に記されます。
 見苦しく逃げまわるノック知事でしたが、動かぬ事実の前に追い詰められ、ついに12月20日、府庁と知事公館、ノック事務所、自宅に強制捜査がはいり、起訴へ(判決は懲役1年6カ月、執行猶予3年)。翌日、知事辞意を表明します。

鰺坂さん102万票

 2月の知事選挙に再び立ち上がったのは鰺坂真でした。前年の知事選挙に、関西大学教授の座を投げうち、「志した哲学を活かし…21世紀の大阪府民の生き方を切り開く具体的施策を実現する」と大健闘しました。
 1年もたたない間の大決戦。鰺坂は「民主府政の実現で府民のくらし、大阪経済、府財政の立て直しを」と「大阪再生プラン」を打ち出します。
 1月16日にはなんばでの2万人街頭演説で日本共産党委員長不破哲三、ジャーナリストの黒田清らが訴え、文化関係者のアピールには作家の井上ひさしが「笑いの本場大阪が、筋の通った考え方の本場大阪でもありますように」と言葉を贈りました。
 ノック知事をかばい続けた自民党公明党の後継候補選びは混迷します。自民党中央が擁立した通産官僚・太田房江にたいし、自民党府連は別の候補をかつぎだしました。
 大激戦のなか、鰺坂は102万票を得票します。これは「自自公」政権にも痛烈な審判になりました。「産経」2月13日付は「ひょっとして、次期あるいは次の次あたりの総選挙の結果次第で、共産党の政権参画が現実のものとなるかもしれない」と評しました。

謀略ビラとのたたかい        

 知事選では、異常な日本共産党攻撃が展開されました。
 大阪では79年、韓国生まれの謀略組織=「勝共連合」が「赤旗」宣伝隊の辻邦夫らに「暴力を振るわれた」とでっちあげ、辻が不当に逮捕、起訴され、一審では有罪判決を受ける事件がありました。辻は10年に及ぶたたかいで逆転無罪・完全勝利をかちとります。
 今回はこれに公明党創価学会が加わり、大量の出所不明ビラが200万枚規模で配布されました。日本共産党の不破委員長が「こんなことができるのは例の宗教政党・宗教団体」であり、「府民をヤミ討ちする勢力に政治をまかせるわけにはいかない」と批判しました。
 「謀略ビラ」は2000年総選挙でも大規模に展開されます。誰の仕業か。日本共産党府委員会と「赤旗」の追跡で、ついにその一つの発行人が突き止められます(次回に)。(次回は「2000年総選挙」です)

(大阪民主新報、2022年2月20日号より)

 

時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第81話 2000年総選挙

関西財界との対話 

志位和夫書記局長(右)と関西経済同友会の萩尾千里常任幹事が語り合った「経済懇談会」=2000年、5月18日、大阪市北区

 2000年の総選挙を前にした5月18日、ホテル阪急インターナショナルで、日本共産党志位和夫書記局長と関西経済同友会の萩尾千里常任幹事が語り合う「経済懇談会」が開かれました(近畿ブロック事務所主催)。
 日本共産党の懇談会に関西財界幹部が参加するのは史上初。党側は「経済界の方々とも大いに対話し、意見があわないこともあるかもしれないが、お互いの立場を相互理解し、一致点があるならば協力したい。胸襟を開いて話し合いたい」とお誘いし、萩尾側は「当面する経済改革で一致するところもあるが、綱領については意見がある。率直にのべていいのなら」と応じたものでした。懇談会ではまず萩尾常任幹事が問題提起し、志位書記局長が日本共産党の「改革論」をのべながら答える形ですすみました。東京からもメディアがかけつけ、あるテレビ局の記者は「“水と油”かと思ったが、話がかみあっていて新鮮な驚き」と語りました。
 政界に波紋を投げ、公明党が直後に「公明新聞」に「共産党の『経済懇談会』報道について聞く」という「萩尾インタビュー」をしたて、「党幹部が発言をつまみぐい」とケチをつけました。しかし、当の萩尾はある雑誌で、「私の歯にキヌ着せぬ発言を(民報号外に)ほぼ全文掲載した度量を見ると、やはり共産党も変わろうとしているのだろうか」と語りました。

「謀略ビラ」の黒幕 

 4月に自民党公明党、保守党の連立政権が生まれ、6月の解散・総選挙に臨んだ日本共産党の前に、全国的に推計60種類、1億枚という規模で「謀略ビラ」が襲いかかります。
 その一つ「ディスカス」はカラー大判ビラに「日本共産党の実態について大公開します」「共産党ほど怖い政党はない」などとデタラメ記事を満載しました。
 「自由ネットワーク関西機関紙」とあるものの、記載された住所を訪ねても、使用形跡のないマンションの一室でした。府委員会と「赤旗」記者が徹底調査するなかで、発行責任者が浮かび上がりました。
 元公明党大阪府本部代表の柳井伝八。大阪市議8期、府本部長も務め、この総選挙でも、府本部選対副本部長でした。
 記者が電話を入れると、「自分が責任者」と認めました。公党幹部が謀略ビラの指揮をとっていたことに、日本共産党は「政治も、運動も、ここまで腐ってしまったのは、公明党が政権に加わったから」と徹底反撃ビラを配布しました。「これが政権党のやることか。こんなビラは配れない」と創価学会員からも声がでました。

議席を激減させた自公保政権     

 空前の謀略的な反共攻撃のなかで、日本共産党は大阪で比例代表63万9464、小選挙区では過去最高の82万2706票を得ましたが、近畿ブロックの議席は1議席後退し、5議席になりました。
 同時に、自公保政権与党は大阪で15議席から13議席へ、全国では65議席を後退させました。日本共産党は「日本改革」をかかげ、消費税増税の企みを暴くなど、論戦をつうじて国民的な痛打を浴びせる流れをつくりだしました。
 この総選挙で、大阪府委員長の大幡基夫が近畿ブロック比例順位5番目で初当選します。大幡は初質問で関西空港地盤沈下問題をとりあげ、関空建設・事業のあり方の抜本的転換を提起しました。(次回は「民間大企業のなかで」)

(大阪民主新報、2022年2月27日号より)