「丸川は旧姓ですよね?」選択的夫婦別姓に反対の丸川大臣、国会追及に語った理由とは

選択的夫婦別姓に反対を呼びかける自民党議員有志の文書に署名していた丸川珠代・男女共同参画担当相。野党からはその資質を問う声もあがり、国会では「自らが旧姓利用をしているなかで反対する理由」を追及された。

 
 

丸川珠代・男女共同参画担当相が、選択的夫婦別姓に反対を呼びかける自民党議員有志の文書に署名していたことをめぐり、野党が大臣としての資質を問題視している。

時事通信
 

3月3日の国会、参議院予算委員会では、社民党の福島瑞穂党首が「なぜ反対なのか」と追及したが、丸川担当相は答弁拒否を繰り返した。

10回近いやりとりのすえ、最終的に「家族の一体感」にかかわる議論があることなどを理由にあげた。改めて要旨を振り返る。

 
 

1. 福島党首「選択的夫婦別姓に、なぜ反対なんですか?」

丸川担当相「まず、3月8日国際女性の日にちなみまして、いち後輩として福島先生がこれまで男女格差の解消または共同参画の推進に取り組んでくださったことに心から敬意と感謝を表したいと思います」

「私の考えは考えでございますけれど、私がこの任についた経緯を考えますと、私の考えを脇に置いてでも、国際社会の理解を得る努力をまずしないといけない」

「そしてまたコロナ禍の第5次共同参画計画、大議論のすえに策定していただいたわけでございます。このなかにはコロナ禍ので大変厳しい状況に置かれている女性たちをしっかり支援していくと書かれております。こうしたことに、まず、取り組みたいと思っております」

「第5次共同参画計画、本当に大変な議論がございましたすえの内容でございます。ここには選択的夫婦別氏制度(*国の名称)も含めて、夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方にかんし、国民各層の意見や国会の議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえてさらなる検討を進めるとされているところでありまして、民法を所管する法務省と力をあわせながら、国会における動向を注視しながら進めていくと理解しております」

 
 

2. 福島党首「なぜ、選択的夫婦別姓に丸川さんは反対なんですか?」

丸川担当相「私には私の意見があることはたしかでございますが、それはそれとして、いま私は大臣の任にございますので、私は大臣としてしっかり務めを果たしたいと思います」

「(中断をはさみ)あの、私のもとには優秀な職員のみなさんが、第5次男女共同参画計画の議論をつぶさにフォローしておられたみなさまがいらっしゃいますので、しっかりそのスタッフのみなさまにも支えていただいて、大臣としての職務をしっかり果たしたいと思います」

 
 

3. 福島党首「なぜ、選択的夫婦別姓に反対なんですか?答えてください」

丸川担当相「あの、私職員のみなさまにも実は、私の個人としての考えをお伝えしていません。職員のみなさまに、これまで議論していただいたことをしっかり踏まえていただきまして、私の意見に左右されないで、国の政策を進めていただきたいと思っています」

「ですので、私はここでは私の意見は申し述べませんけれども、しっかり男女共同参画計画に定められたことに則って、取り組みを前に進めてまいりたいと思っています」

 
 

4. 福島党首「大臣の資質の問題としても、なぜ選択的夫婦別姓に反対なんですか。その旨署名して、議会にまで送っているじゃないですか。態度表明されているから聞いているんです。なぜ反対か、私は理由を知りたい。答えてください」

時事通信
 

丸川担当相「この問題についてはこれまでに非常に幅広い議論がなされておりまして、夫婦の氏に関する具体的な制度のありかたについては、夫婦の選択的別氏制度、あのなかなか、通称使用と別氏もまだ、国民のみなさまのすべてが理解されているわけではないと思いますので、まず、自分ごととしてこの問題を捉えていただけるような、活発な議論、しかも、自分ごととして深く考えていただく議論を後押ししたいと思っています」

 
 

5. 福島党首「答えてください。なぜ、選択的夫婦別姓に反対なんですか。明確に答えてください」

丸川担当相「職員のみなさまに、自分たちの思いを持って仕事をしていただきたいので、大変恐縮ですが、ご理解いただきたく幸いに存じます」

「(中断をはさみ)選択的夫婦別姓を含む夫婦の氏に関するあり方の議論は、我が国の男女共同参画のなかをしめるひとつの重要な要素です。国際社会にしっかりと我が国が男女共同参画に取り組んでいるということをご理解いただけるように、大臣として、取り組んでまいります」

 
 

6. 福島党首「答えてないですよ。かつて、丸川さんははっきり表明して、地方議会に署名して送っているじゃないですか。だから、なぜかを聞きたいんです。教えてください」

丸川担当相「私はいま、この場に大臣として立っております。個人の意見は、申し述べる場ではないと理解をしておりますので、大変恐縮ですが、個人の考えを述べるのは、ご遠慮させていただきます」

「(中断をはさみ)あの、大臣として、反対したわけではありませんので。反対か、どうかというかについての答弁はできません」

 
 

7. 福島党首「じゃあ、賛成なんですか?」

丸川担当相「まさに、昨年の大議論のすえ、政府として策定いたしましたのは、この計画に書かれておりますように、選択的夫婦別氏制度を含めて、夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方にかんし、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえてさらなる検討を進めるとされていますので、法務省のお考えも踏まえながら取り組むことが必要だと考えておりますし、しっかりと国民のみなさまのあいだに活発な議論、深い議論があることが必要と考えておりますので、私どもとしてはその議論をしっかりサポートしてまいりたいと思っています」

 
 

8. 福島党首「かつて菅総理も上川大臣も夫婦別姓に賛成ということで答弁されています。答えているじゃないですか。丸川さんだけ、なぜ反対ですかってことに答えないのはおかしいじゃないですか。表明されているのだから、なぜ反対か、教えてください」

THE PAGE / Via youtube.com
 

丸川担当相「私は私なりに職員のみなさまがた、これまでの議論を踏まえて、私の大臣として反対したわけではないということを踏まえて、答弁をさせていただいております」

「(中断をはさみ)以前は、一議員としての意見を表明いたしました。大臣として反対したわけではございません。こうやっていうのならば、大臣として私が賛成反対を申し述べることによって、議論を誘導することはしたくありません。その思いをぜひ、ご理解いただければ幸いでございます」

 
 

9. 福島党首「(中断をはさみ)かつて反対した理由を教えてください」

丸川担当相「かつて私がもった意見というのは、あの、まあ家族の一体感について、議論があって、これは家族の根幹にかかわる議論なのだな、という認識を持ったからです」

 
 

10. 福島党首「丸川は旧姓ですよね。家族で姓が違いますよね。家族の一体感がないんですか?」

丸川担当相「まさに丸川というのは私の通称名でございまして、選挙のときも、通称名を使っておられる方も大勢いられるかと思います。この通称と氏というのが別のことだということが、なかなか国民のみなさまの理解を得られていないところもございまして、私は、氏は大塚でございます」

 
 

11. 福島党首「国会議員は委員会や表示は通称使用が許されています。でも一般の人は、姓を変えたんだから戸籍名をちゃんと使えと圧力がかかったりします。一般の人の苦労をご存知ですか?」

丸川担当相「大臣に就任して驚いたことがありました。法律が仕上がったときに、閣議でサインをします。福島先生もサインもされたのではないかと思いますが、あの閣議でやるサインは、本名でした。大塚珠代でした」

「私は自分は旧姓、通称名で選挙をしていますので、非常に違和感がございまして、内閣総務官室に、これはおかしいのではないかというお願いをしました。数年かかりましたけれども、そこは丸川珠代で書かせていただけるようになりまして、やはり通称使用の拡大はこれからも取り組みが必要だろうと思います」

 
 

12. 福島党首「同姓でもいい、別姓でもいい。選択肢なんです。夫婦別姓を選択的に認めたからといって、天変地異が起きるわけでも、誰かが損をするわけでも、犯罪が増えるわけでもありません。一般の人たちが通称使用をするのにもものすごく苦労をしている。その苦労をご存知ですか?」

丸川担当相「いろいろなお立場の方がいらっしゃるとは、認識しております。特に、人格権の侵害だと受け止められてらっしゃる方もいる」

「大法廷で判決が一度出ましたけれど、そのあと議論に付されているという状況でございますので、そうした方々のご苦労も踏まえながら、便利か不便かという話と人格権の話は少し、重さが違うように私は受け止めておりますけど、そうした議論もしっかり、目を向け、耳を傾けてまいりたいと思います」

 
 

13. 福島党首「一般の方の苦労も知っているのなら、なぜ選択制に反対なんですか?」

丸川担当相「氏に対するアイデンティティで、人格権の侵害だと感じておられる方。それから、不便だという問題。特にパスポートの記載についてというのは、非常に大きな議論になってきたかと思います」

「今度の4月から、もともと通称名が書けるわけで、国際会議などでもIDとしてお示しいただけるわけですが、もともとの名字ですと明記(Former surname)するようになっております。このように不便を解消する努力というのは、これまでもしてきておりますし、これからも必要だと思っております」

 
 

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